⚙️ひとことで言うと:鉄を作るときに出るスラグという副産物が、海に入れると海藻の栄養になる。ゴミだと思っていたものが海を救う材料になるんだ。
鉄鋼スラグとは、鉄鋼製造プロセスで生じる副産物です。高炉で鉄鉱石を還元する際に生じる高炉スラグと、電炉や転炉での精錬過程で生じる製鋼スラグの2種類が主要です。日本では年間約3,000万トンが発生し、その大部分はセメント原料や道路路盤材として再利用されています。
近年、鉄鋼スラグの海洋環境への応用が注目されています。製鋼スラグにはケイ酸カルシウム・酸化鉄が豊富に含まれており、海中に設置すると以下の効果が期待されます。
- 鉄・ケイ素の溶出:植物プランクトンや海藻の必須栄養素を供給し、一次生産性を高めます。
- pH緩衝作用:アルカリ性のスラグが海水の酸性化を緩和します。
- 炭素固定:スラグに含まれる酸化カルシウムが海水中のCO₂と反応し、炭酸カルシウムとして固定されます(鉱物炭素化)。
国内では新日鐵住金(現日本製鉄)やJFEスチールなどが主導する海域実証試験で、スラグ設置エリアにおける藻場再生効果が確認されています。産業副産物を活用した低コストな藻場再生素材として、行政・漁業協同組合との連携が進んでいます。
鉄鋼スラグの鉱物学的特性と炭酸塩飽和度への影響
製鋼スラグの主要鉱物相はCa₂SiO₄(珪酸二カルシウム)・RO相(FeO-MnO-MgO固溶体)で構成される。海水接触でCa²⁺が溶出し、アルカリ度を上昇させる:
Ca₂SiO₄ + 4H₂O → 2Ca²⁺ + H₄SiO₄ + 4OH⁻
OH⁻生成が局所的にpHを上昇させ、石灰化生物に有利な炭酸塩飽和度Ωを改善する。
- JFE岩美(3.6ha):高炉スラグ骨材でJ-Blueクレジット認証・JSCE環境賞受賞
- スラグからのFe²⁺溶出速度:pH 8.1で0.05〜0.2 μmol/L/day(Hayashi et al., ISIJ International, 2013)
- 重金属安全性:JIS K0058-1基準で全8項目(Cd・Pb・Cr⁶⁺等)が環境基準値以下
Phycaの差別化は、BCM特許のフルボ酸鉄ブロックとスラグ基盤のハイブリッド施工。伊豆大島で5種定着を確認し、単独素材より藻類定着率が著しく向上することを実証した。