
事業内容

藻場再生・ブルーカーボン事業
日本沿岸では「磯焼け」と呼ばれる海の砂漠化が深刻化しています。環境省の調査では全国の藻場面積は約16,400km2にまで減少し、沿海39都道府県が岩礁性藻場の衰退を報告しています。海水温の上昇、植食性魚類の北上、ダム建設や護岸化による森林からの鉄分供給の断絶が主な原因です。
当社は、鉄鋼スラグと独自のブロック技術を活用した藻場造成を行います。鉄鋼スラグ中の酸化カルシウムがCO2と反応して炭酸カルシウムを生成し、これが海洋生物と高い親和性を持つ着生基盤となります。製造工程そのものがCO2を固定するカーボンマイナス技術です。
固定されたCO2は「Jブルークレジット」として環境価値取引が可能です。2022年度の認証量は3,733トン-CO2、取引価格はJクレジット(森林由来)の約9倍となる7〜8万円/トンに達しており、100社以上が購入に殺到する需要過多の市場です。
- 鉄鋼スラグ・漁礁ブロックによる藻場造成(着生基盤の設計・施工)
- フルボ酸鉄の人工生成による海藻成長促進
- Jブルークレジットの認証取得・環境価値取引の支援
- 海洋環境モニタリングとCO2吸収量の定量評価
- 環境保全・CSR・SDGsに関するコンサルティング
技術の原点 — 20年の研究と継承
当社の藻場再生技術は、株式会社BCM代表・深澤文夫が20年以上にわたり研究・開発してきたフルボ酸鉄徐放型ブロック技術に端を発します。深澤は「豊かで多様な海の生態系を未来に残す」という信念のもと、その全技術・知見・研究ネットワークをPhycaに移管。当社はこの技術資産を事業基盤として継承し、次世代へスケールさせる使命を担っています。
- NEDO国家プロジェクト(2008〜2010年) — 予算2.14億円、全国6地点14海域で実証。11海域(78.6%)で藻場再生効果を確認
- 伊豆大島・差木地実証(2019〜2023年) — フルボ酸鉄有りブロックで海藻被度90%を達成。アントクメ28本(最大全長30cm)、ヘラヤハズ・カニノテ・シマオオギ・ホンダワラの5種が着生。フクトコブシ(アワビ類)の生息も確認
- JFE岩見プロジェクト — 鉄鋼スラグを活用し3.6haの藻場を造成。Jブルークレジット認証を取得、土木学会環境賞を受賞
- 確認された魚類 — オヤビッチャ、カミナリベラ、ソラスズメダイ、カゴカキダイ、ギンガメアジ、イシダイ等12種以上が回帰
科学的根拠:鉄分は海藻の光合成酵素の構成成分であるだけでなく、海藻の配偶体成熟(受精)に不可欠であることが北海道大学の研究で確認されている。鉄分が欠乏した海域では海藻が受精できず、藻場の自然回復が起こらない。

Phyca 収益モデル — クレジット販売・受託事業・プロダクト・ライセンスの4収益源

有機農法・畜産支援
畜産業は世界の温室効果ガス排出量の14.5〜16.5%を占め、そのうち牛が約62%を排出しています(FAO推計)。紅藻類の一種であるカギケノリ(Asparagopsis taxiformis)を飼料に添加することで、牛の腸内発酵によるメタン排出を大幅に抑制できることが実証されています。
当社は、藻場再生事業で培った海藻の知見を陸へ展開します。海藻由来の有機肥料・土壌改良材・畜産飼料を製造し、石垣牛や遠州夢咲牛などのブランド牛の育成を支援します。光変換農法(ピンクネット)等の先端技術も組み合わせ、生産性と品質の同時向上を実現します。
2024年の和牛輸出額は648億円(前年比+12%)に達し、政府は2030年に1,132億円の目標を掲げています。環境配慮と品質向上を両立する畜産モデルは、国際市場における競争優位性に直結します。
- カギケノリ等の海藻由来飼料によるメタン排出抑制
- 海藻・微生物由来の有機肥料・土壌改良材の製造販売
- ブランド牛の育成支援と海外販路開拓
- 光変換農法(ピンクネット)技術の展開
- 高付加価値有機農産物の生産・マーケティング支援
学術的エビデンス
カギケノリ(Asparagopsis taxiformis)によるメタン削減:
- フィードロット試験:メタン排出量 80%以上削減(PLOS ONE, 2021)
- 放牧牛(ペレット給餌):37.7%削減、肉質への影響なし(PNAS, 2024 — 和牛×アンガス交雑種24頭)
- 有効成分ブロモホルム(CHBr₃)がルーメン内メタン生成酵素を阻害
海藻由来バイオスティミュラント(有機肥料)の効果:
- 収量 +15.17%(根菜類は+21.19%)
- ビタミンC +18.07%
- タンパク質 +11.45%
- 糖酸比 +38.32%
- 出典:PLOS ONE 2024 メタアナリシス

テクノロジーの社会実装
一次産業の現場では、長年にわたり個人の経験と勘に依存した意思決定が行われてきました。土壌の状態、作物の生育状況、家畜の健康管理 —— これらの判断は属人的であり、知見の継承や規模拡大の障壁となっています。
当社は、AIとIoTを活用し、一次産業の暗黙知をデータとして可視化・数値化します。現地の画像・映像データから課題を自動分析し、最適な施肥量・収穫時期・飼養管理を提案するシステムを構築しています。
目指すのは、一次産業における「コンサルティング×テクノロジー」のプラットフォームです。日本のスマート農業市場は2025年に3,885億円規模に達する見込みであり、AI活用の農業分野は年率26%超で成長しています。
- AI画像解析による作物・家畜の状態診断
- IoTセンサーを活用した環境モニタリングと最適化提案
- 一次産業の暗黙知をデータベース化するナレッジシステム
- 多言語対応の技術支援チャットボット
- 生産者向けSaaSプラットフォームの開発・提供
テクノロジー・プラットフォーム構想
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